other
ベビーちゃんシリーズは全ての神は生まれて死ぬ輪廻の中を生きる生物だという思想から、神も死ぬのであれば生まれた時もあるのだと考えて、神仏のベビー時代、トドラー時代、キッズ時代をイメージして描いているシリーズです。
お不動ちゃんはみなさまお馴染みの不動明王さまをモデルに描いています。
本来であれば三鈷剣と羂索を持った姿で表される不動明王ですが、私が作品として描く仏画には、武器を持たない神仏を描くことをモットーとしておりますので、ここではキリスト教で重要な意味を持つパンを持たせました。
私にとって宗教とは先人の知恵だという考えがあります。
生きながらにしていずれ死ぬことを知っていながら死に向かって生き続けていかなくてはならない私たち人類の苦しみに満ちた人生を、いろいろな言葉や教えで意味あるものへと変えてくれるものが宗教の役割だと思っています。
そうした意味を踏まえて、お不動ちゃんには共に人々を救うという意味でパンを抱きしめてもらいました。
後ろから顔を覗かせているのは不動明王の脇侍として登場する制吒迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅同士(こんがらどうじ)です。
矜羯羅ちゃん(左)と制吒迦ちゃん(右)は子供の頃からお不動ちゃんの弟分で、いつもお不動ちゃんの後ろにいて尊敬の眼差しで見上げていた子供達だったんじゃないかな・・・と想像しました。
背景には映水の絵に必ずといっていいほど登場する和更紗を描きました。
更紗はインド発祥の染色技術で、シルクロードを通って世界中にその技術が広まりました。
フランス更紗、ジャワ更紗、和更紗といった代表的な更紗柄には、その地域の文化や植物を取り入れた柄が各地で発展していきました。
その様子は宗教戦争をせず、土着の文化思想や信仰を取り入れながら広まっていった仏教伝来の姿に似ていると考え、作品に描き入れる柄は更紗柄を描いています。
科学の発展と共に、神仏の存在を受け入れ難く感じられるようになった現代の人々ですが、それでも山や川に畏怖の念を感じたり、神社仏閣に参拝することをやめたわけではありません。
何気なく日々を送っている中で、私たちは限りある命を生きているのだと痛感した時に、私たちは自分たちの無力さ儚さをみに染みて感じます。
そんな時、どうしようもない無力感や受け入れ難い矛盾を突きつけられて、まるでどん底に突き落とされたような気持ちになるのではないでしょうか。
そんな時に、人々は神仏の存在を求めたり、その叡智に感謝をして縋ったりするのだと思うのです。
そんな現代の人々と神仏との距離を否定せず、必要な時に必要な人が救われるような作品を描きたいと考えて『現代仏画』を描きたいと思っています。
***************************
ベビーちゃんシリーズ『お不動ちゃん』
サイズ/19×13cm
材料 /高級水彩紙、日本画煉絵具、金泥)
額 /ゴールド
マット/オフホワイト・3ミリ厚
手書き作品証書付(期間限定)
⚠️額の専用箱はありません。
⚠️額の箱をご要望の場合は別途箱代が必要になります
(納期に1ヶ月いただきます、ご了承ください)